Smith’s Criteria
Sgarbossaは左脚ブロックを有する症例の虚血評価として”Sgarbossa’s Criteria“を報告しました。Sgarbossa’s Criteriaは特異度は98%と高いですが、感度は20%と低い2)ため除外診断に使えないことが問題でした。

その後にSmithらがSgarbossa’s Criteriaを改良してより感度が高いSmith’s Criteria(modified Sgarbossa criteria)を報告しました。Smith’s CriteriaはSgarbossa’s Criteriaの基準の一つである「下向きQRSを示す誘導で5mm以上のST上昇」を「ST/S比」に置き換えたものです1)。Smith’s Criteriaでは3つの基準のうち1つでも満たせば虚血疑いと判定します。

ST/S比は基線(PR segment)からS波の頂点までの距離を測定し、STはJ点までの距離を測定してSTとS波の距離の比を計算します。基線より下はマイナスとして計算します。

90%以上の特異度を持つST/S比のカットオフは<-0.25であり、感度91%、特異度90%です1)。つまり、S波の振幅の1/4より大きなST変化が見られれば基準を満たすと言えます。

ST上昇に関してSgarbossa’s Criteriaの5mmという絶対値での評価をST/Sという相対値での評価に変更したことで感度を大幅に改善させることができたのがSmith’s Criteriaです。
