South African flag sign

心電図記録の際、縦に3つの誘導を表示した場合(3チャンネル表示)にI、aVL、V2誘導のST上昇とIII誘導のST低下のパターンが見られることがあり、これらI、aVL、V2、Ⅲ誘導の心電図記録上の位置関係が南アフリカの国旗の柄に一致していることからSouth African flag signと呼ばれています1)。

I、aVL、V2誘導のST上昇とIII誘導のST低下のパターンは、対角枝(D1)、または高位側壁枝(high lateral branch)の心筋梗塞の徴候と考えられています。Ⅰ、aVL誘導は高位側壁を反映しており、ST上昇のミラーイメージにより下壁誘導(Ⅲ、aVF誘導)でのST低下が同時に見られます。高位側壁心筋梗塞(HLMI:high lateral myocardial infarction)は、心電図上の非連続性ST上昇のためにしばしば見逃されることがあります。

V2誘導はI、aVL誘導と非連続であるため、これらの誘導におけるST上昇は、左回旋枝の閉塞による「側壁」心筋梗塞と誤解されることがあります。V2誘導は高位側壁の上に位置しており、V1・V3のST上昇を伴わない非連続性のST上昇を呈するとされています。また、III、aVF誘導のST低下も、高位側壁誘導のST変化が不明瞭な場合には心筋虚血によるST低下と誤認されることがあります3)。


参考文献
1)South African flag sign: a teaching tool for easier ECG recognition of high lateral infarct. Am J Emerg Med. 2016 Jan;34(1):107-9.←South African flag signの最初の報告であり、教育ツールとして報告している
2)A Red Flag ECG. Circulation. 2020 Nov 10;142(19):1871-1874.←CirculstionのECG CHALLENGE
3)The South African Flag Sign: An Electrocardiographic Flag for All Coronary Territories? J Investig Med High Impact Case Rep. 2023 Jan-Dec;11:23247096231192861.←South African flag signを認めたが多枝病変であった症例
4)South African flag sign. Oxf Med Case Reports. 2023 Oct 23;2023(10):omad104.←80歳女性の高位側壁心筋梗塞の症例報告