2枝ブロック(bifascicular block)
刺激伝導系はヒス束から右脚、左脚前枝、左脚後枝の3つに分かれていきますが、2枝ブロックはこのうちの2つの枝が伝導障害をきたしている状態です。
2枝ブロックの組み合わせとしては上図のように3通り考えられますが、臨床的には2枝ブロックは完全右脚ブロック+左脚前枝ブロックがほとんどです。その理由としては右脚>左脚前枝>左脚後枝の順番で障害を受けやすいからです。
右脚ブロック+左脚前枝ブロック
右脚ブロック+左脚前枝ブロックの2枝ブロックでは、右脚ブロックの特徴であるV1誘導のrsR’パターンと左脚前枝ブロックの特徴である左軸偏位、II、III、aVF誘導でのrSパターン、Ⅰ、aVL誘導でのqRパターンを示します。
右脚ブロック+左脚後枝ブロック
右脚ブロック+左脚後枝ブロックの2枝ブロックでは、右脚ブロックの特徴であるV1誘導のrsR’パターンと左脚後枝ブロックの特徴である左軸偏位、II、III、aVF誘導でのqRパターン、Ⅰ、aVL誘導でのrSパターンを示します。
左脚前枝ブロック+左脚後枝ブロック
左脚前枝ブロック+左脚後枝ブロックは心電図では左脚ブロックと同じ波形になります。しかし、厳密には左脚ブロックの方がより上流で興奮が途絶することになります。
参考文献
1)Infra-Hisian Conduction Disturbance and Alternating Left Anterior/Posterior Fascicular Block. JACC Case Rep. 2024 May 15;29(12):102363.←LAFBとLPFBが交互に出現し、RBBBを有する患者の症例報告
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P102-103
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P107-109