代償性休止期(compensatory pause)
期外収縮のため心筋・刺激伝導系が興奮し、その後不応期となります。次の正常の調律が始まる時期にもまだ不応期にあるため興奮が伝導できず、本来興奮が伝導するタイミングで休止することを代償性休止期と呼びます。
代償性という言葉は、本来の波の代わりに出現したということを意味しています。代償性休止期を伴う心室期外収縮を「代償性心室期外収縮」とも呼びます。
代償性休止期はさらに完全代償性休止期と不完全代償性休止期に分けられます。
完全代償性休止期(fully compensatory pause)
心室期外収縮による興奮で房室結節が不応期になり、そのタイミングで洞結節からの興奮が伝導してきた場合、興奮は房室結節を通過することができません。そのため次の洞結節からの興奮を待つことになります。これが完全代償性休止期を伴う心室期外収縮です。
房室結節を通過できなかったP波は心室期外収縮の後に確認できることが多いです。PP間隔は変化しないため、心室期外収縮の前後の洞調律のPP間隔は正常のPP間隔の2倍になります。
不完全代償性休止期(not fully compensatory pause)
心室期外収縮の興奮が房室結節を逆伝導して心房に到達することがあります。心電図では洞調律のP波と異なる逆行性P’波を心室期外収縮の直後に確認することができます。
この場合、洞結節がリセットされることで洞周期が新しくなります。そのためPP間隔が変わり、心室期外収縮の前後の洞調律のPP間隔は正常のPP間隔の2倍より短くなります。
参考文献
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル 242-243
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P123-126