円錐枝(conus branch:CB)
円錐枝は右冠動脈入口部直後から前上方へ分岐し、右心室基部から右室流出路へ血液を供給しています。30%の症例で円錐枝は右冠動脈の枝ではなく、右バルサルバ洞から直接生じています1)。
右室流出路は解剖学的には漏斗部(infundibulum)または動脈円錐(conus arteriosus)と呼ばれます。これが円錐枝(conus branch)と呼ばれる所以です。
心電図変化
円錐枝の閉塞は、前胸部導部であるV1~V3誘導のST上昇を示すことが知られています2)。
右室流出路の心室筋量は左室に比較して少ないものの表面積が大きく、胸壁近くに位置するため、電気的異常が近接する胸部誘導に反映されやすいと考えられています。
また、円錐枝の虚血はBrugada症候群でみられるような心電図パターンを呈することがあります。アセチルコリンによる円錐枝攣縮により、Brugada症候群に類似した心電図変化を呈したという報告もあります3)。
参考文献
3)Possible contribution of ischemia of the conus branch to induction or augmentation of Brugada type electrocardiographic changes in patients with coronary artery disease. Int Heart J. 2010 Jan;51(1):68-71.←円錐枝の虚血によりブルガダ型心電図変化が生じる可能性がある
書籍
臨床心臓構造学 P143-148