冠動脈分類
冠動脈には分類があり、現在では主に米国心臓協会(AHA:American Heart Association)による番号の分類(AHA分類)に基づいて分類されています1)。#(ナンバー)+数字で表記され、#1、#2、#3などと呼ばれます。心筋梗塞の梗塞部位やPCIの治療部位を表す場合によく使用されます。

右冠動脈

#1:近位部(proximal)
右冠動脈の起始部から鋭角枝の分岐部の半分までの部分を#1(近位部)と分類します。鋭角枝の分岐部の半分の場所に右室枝があることもあり、右室枝の分岐部までが近位部となることもあります。
#2:中間部(mid)
鋭角枝の分岐部の半分から鋭角枝の分岐部までの部分を#2(中間部)と分類します。
#3:遠位部(distal)
鋭角枝の分岐部から後下行枝の分岐部までの部分を#3(遠位部)と分類します。
#4:後下行枝(posterior descending branch)
遠位部から分岐して後室間溝を走行する後下行枝を#4に分類します。また、房室結節枝と区別する為に、後下行枝を#4PD、房室結節枝を#4AVと呼ぶことが多いです。左冠動脈優位の場合は#4は存在しません。
左冠動脈
#5:左主幹部(left main trunk)

左冠動脈の起始部から前下行枝と回旋枝の分岐までを#5(左主幹部)と分類します。
前下行枝

#6:近位部(proximal)
前下行枝の分岐部から最初の中隔枝(first major septal branch)の分岐までを#6(近位部)と分類します。
#7:中間部(mid)
最初の中隔枝(first major septal branch)の分岐から前下行枝の先端までを2等分した前半部分を#7(t中間部)と分類します。対角枝の分岐と一致しないことも多いです。
#8:心尖部(apical)
最初の中隔枝(first major septal branch)の分岐から前下行枝の先端までを2等分した後半部分を#8(心尖部)と分類します。遠位部(distal)とも呼ばれています。
#9:第一対角枝(first diagonal branch)
最も大きく、通常は最初に分岐する対角枝を#9(第一対角枝)と分類します。前下行枝近位部から分岐します。
#10:第二対角枝(second diagonal branch)
2番目に分岐する対角枝を#10(第二対角枝)と分類します。大抵は前下行枝遠位部から分岐します。
回旋枝

#11:近位部(proximal)
回旋枝の分岐部から鈍角枝の分岐部までを#11(近位部)と分類します。
#12:鈍角枝(obtuse marginal branch)
回旋枝の一番大きな分岐枝であり鈍角縁領域を走行する鈍角枝を#12と分類します。
#13:遠位部(distal)
回旋枝の鈍角枝の分岐部以遠を#13(遠位部)と分類します。房室間溝を走行しています。
#14:後側壁枝(posterolateral branch)
後側壁領域を走行する後側壁枝を#14と分類します。
#15:後下行枝(posterior descending branch)
回旋枝遠位部から分岐して後室間溝を走行する後下行枝を#15に分類します。左冠動脈優位の時に存在します。