1度房室ブロック(First degree atrioventricular block)

1度房室ブロックは房室伝導系の伝導遅延であり、心電図上のPQ間隔が通常より延長している場合に定義されます2)。刺激伝導系の中でも1度房室ブロックは多くが房室結節内の伝導遅延です。

一般的には予後良好ですが、PQ間隔の延長と心房細動、心不全、死亡率の有意な増加との間に関連性がある可能性を示唆する報告もあります3)。罹患した患者は心房細動や高次房室ブロックを発症するリスクが高いことが証明されているので、定期的な評価が不可欠です。
心電図所見
第1度房室ブロックの定義は、PQ間隔が0.20秒を超え、心房-心室伝導が破綻していないことです4)。PQ間隔の正常値は0.12秒から0.20秒です。

PQ間隔が0.30秒より延長すると心房と心室の同期性が失われて心拍出量低下が生じる場合があり病的とされます5)。PQ間隔が0.30秒以上延長した第1度房室ブロックは、 “marked” first degree atrioventricular blockと呼ばれます。
参考文献
2)First degree atrioventricular block. Eur Heart J. 1984 Mar;5 Suppl A:107-9.
5)2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P84-85
ほぼ初めての心電図 P191-192
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P41-43