側壁心筋梗塞(lateral myocardial infarction)
心臓の側壁を灌流する冠動脈が虚血となり、側壁に心筋梗塞が生じた場合を側壁心筋梗塞と言います。

側壁とは左室の左側面を指しており、上図のように左室を立方体で表すと赤色の部分にあたります。心臓を輪切りにした図では側壁は下図のようになります。

側壁を灌流する冠動脈としては主に前下行枝から分岐する対角枝と回旋枝から分岐する鈍角枝の2つがあります。どちらの血管の閉塞でも側壁梗塞になり得ます。

側壁を反映する誘導はaVL、Ⅰ、V5、V6誘導です。これらの側壁誘導の中で側壁の高い位置を反映するaVL、Ⅰ誘導を高位側壁誘導(high lateral lead)、低い位置を反映するV5、V6誘導を低位側壁誘導(low lateral lead)と呼びます1)。

対角枝(diagonal branch)

対角枝は左前下行枝から分岐する枝で、側壁を灌流しています。対角枝には第一対角枝と第二対角枝があります。それぞれD1(first diagonal branch)、D2(second diagonal branch)とも呼ばれています。AHAの分類ではseg9、seg10になります。

第一対角枝閉塞による側壁梗塞では側壁誘導であるⅠ、aVL、V5、V6誘導でST上昇します。ミラーイメージとして下壁誘導(Ⅲ、aVF)でST低下を認めます。

鈍角枝(obtuse marginal branch:OM)

鈍角枝は左回旋枝から分岐する枝で、側壁を灌流しています。AHAの分類ではseg12になります。

鈍角枝閉塞による側壁梗塞では側壁誘導であるⅠ、aVL、V5、V6誘導でST上昇します。ミラーイメージとして下壁誘導(Ⅲ、aVF)でST低下を認めます。
