Wenckebach型Ⅱ度洞房ブロックとは?

Wenckebach型Ⅱ度洞房ブロック(Wenckebach type second degree sinoatrialblock)

文献1より Wenckebach型Ⅱ度房室ブロック S:sinus node, SA:sinoatrial junction, A:atrium

Wenckebach現象といえばWenckebach型Ⅱ度房室ブロックが有名ですが、洞結節でもWenckebach現象が見られます。これをWenckebach型Ⅱ度洞房ブロックと呼びます。

上図のラダーグラムは洞結節(S)、洞房伝導(SA)、心房(A)の関係性を表しています。洞結節の興奮周期は一定ですが、洞房伝導が減衰伝導により伝導遅延しています。その結果、P波が脱落しています。

sinoatrial Wenckebach
文献1より改変

目には見えませんが、利用可能な心房周期情報を使って洞房結節内の興奮周期を計算することは可能です。上図のA1からA3までの間隔=1880msに等しいです。この間、洞結節内からは合計3回の刺激がありました。したがって、洞結節と心房の合計周期が等しくなければならないことを考えると、洞房結節の興奮周期は1880/3=626msとなります。

Wenckebach型Ⅱ度洞房ブロックではPP間隔が次第に短縮して、急に長いPP間隔が出現しますが、PQ間隔は不変です。Wenckebach型Ⅱ度洞房ブロックの休止期が洞房ブロックによるものか、洞停止によるものかの鑑別は不可能です。

参考文献

1)The Wenckebach Phenomenon. Curr Cardiol Rev. 2021;17(1):10-16. 

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