U波(U wave)

U波はT波に続く小さな陽性波であり、二峰性のT波と間違われることもあります。V2、V3誘導で最もよく見られますが1)、確認できないことも多く、aVR誘導以外の全ての誘導で陽性です。

U波の波高は通常T波の25%未満であり、T波より大きいU波は異常です。また、陰性U波は全て異常です。

機序
U波の出現する正確な機序は不明ですが、以下の様な説があります。
・プルキンエ線維の再分極の遅延
・M細胞の再分極の延長
・心室壁の機械的な力に起因する後電位
・M細胞の再分極の延長
・心室壁の機械的な力に起因する後電位
ちなみに、M細胞は中間の心筋層に存在する心筋細胞で、活動電位持続時間が他の心筋細胞より長いことが特徴とされています2)。M細胞の「M」は「midmyocardial cell」の頭文字です。
U波と心拍数
U波が確認できるかどうかは心拍数によっても異なります。心拍数が65拍/分未満の場合、Q波は90%以上が検出できますが、心拍数が95拍/分以上の場合はほとんど検出されないと報告されています3)。徐脈の時ほどU波は認識しやすくなります。

参考文献
1)The U wave of the electrocardiogram. Mod Concepts Cardiovasc Dis. 1969 Aug;38(8):39-45.
2)The M cell. J Cardiovasc Electrophysiol. 1999 Sep;10(9):1297-9.
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P38-40
心電図のみかた、考え方 応用編 P377-378
ほぼ初めての心電図 P55-56、102-103
今さら聞けない心電図 P78-79