心室頻拍(Ventricular Tachycardia)

心室頻拍とは心拍数100/分以上の反復性の興奮が心室内で発生している不整脈です。3拍以上の場合に心室頻拍と呼び、2拍以下の場合は心室期外収縮と呼ばれます。

障害された心筋をリエントリー回路として生じることが多く、心筋梗塞や心筋症などで見られます。

分類
持続時間
心室頻拍の持続時間が30秒未満の場合を非持続性心室頻拍(nonsustained VT)、30秒以上の場合を持続性心室頻拍(sustained VT)と呼びます。

波形
QRS波形が一定の場合を単形性心室頻拍(monomorphic VT)、QRS波形がバラバラで一定でない場合を多形性心室頻拍(polymorphic VT)と呼びます。torsade de pointesは多形性心室頻拍に含まれます。

心電図所見

心室頻拍の心電図は、QRS波がwideでリズムは整となります。

鑑別
上室性頻拍

上室性頻拍は通常narrow QRSですが、変行伝導を伴う場合はwide QRSになります。波形が酷似している場合も多く、様々な鑑別方法が提唱されています。
偽性心室頻拍

WPW症候群と心房細動が合併すると、副伝導路を介して多数の興奮が心室へ伝導し、刺激伝導系を介していないためQRS幅が広くなるので、一見すると心室頻拍に見えることから偽性心室頻拍(pseudo VT)と呼ばれます。心房細動の不規則な興奮が伝導するため、心室の興奮も不規則になりRR間隔は不規則になります。
アーチファクト

体動や振戦によって心室頻拍によく似たアーチファクトが発生することがあります。特に歯磨きの場合は「歯磨きVT」と呼ばれ、よく知られている生理的アーチファクトです。このアーチファクトを鑑別するのにnotch signが有用です。
参考文献
書籍
ほぼ初めての心電図 P247-252