Wenckebach型Ⅱ度房室ブロック(Wenckebach second degree atrioventricular block)
Wenckebach型Ⅱ度房室ブロックはⅡ度房室ブロックの一つです。
PQ間隔が徐々に延長してQRS波が脱落します(Wenckebach現象)。QRS波の脱落は「dropped beat」とも呼ばれます2)。PQ間隔とは異なり、PP間隔は一定です。
QRS波が脱落するタイミングはP:QRSが3:2や4:3など様々です。(上図は3:2ブロック)
房室結節の周囲には交感神経、副交感神経が発達しており、副交感神経が過緊張を起こすことで房室結節の減衰伝導に影響を及ぼすことで伝導遅延が生じることで出現するとされています。房室結節にはもともと減衰伝導特性が備わっているため健常者でも生じうる機能的ブロックです。
PQ間隔が徐々に延長するのに対して、RR間隔は徐々に短縮します。PQ間隔が延長するのでRR間隔も延長すると思われがちですが、ラダーグラムを用いるとどのようにしてRR間隔が徐々に短縮しているのか理解しやすくなります。徐々にPQ間隔の延長の程度が小さくなることが原因となっています。
参考文献
1)The Wenckebach Phenomenon. Curr Cardiol Rev. 2021;17(1):10-16.
書籍
今さら聞けない心電図 P142-143