S1Q3T3 pattern

S1Q3T3 patternとはⅠ誘導にS波、Ⅲ誘導に深いQ波と陰性T波が存在することを表しています。

McGinnとWhiteにより1935年に初めて報告され、McGinn-White Signとも呼ばれています2)。当初の報告ではS波とQ波の振幅は0.15mV(1.5mm)以上と定義されていました。

S1Q3T3 patternは右室負荷の所見とされており、肺塞栓症でよく知られますが特異的ではなく他の疾患でも見られます。
心電図所見
あくまでイメージですが、下図のような右室の興奮と左室の興奮を想定しておくとQRS波の成り立ちが理解しやすいです。

S1(I誘導のS波)
右室負荷により右軸偏位になるため、I誘導から見ると心臓の興奮が離れていく方向になるのでS波が深くなります。初期ベクトルは左室の興奮がより強く反映されR波となり、後半は右室の興奮が反映されS波となります。

Q3(Ⅲ誘導のQ波)
右室負荷により右軸偏位に伴って初期の脱分極ベクトルが変化し、Ⅲ誘導ではQ波が顕著になります。初期ベクトルは左室の興奮がより強く反映されQ波となり、後半は右室の興奮が反映されR波となります。

T3(Ⅲ誘導の陰性T波)
右心室の圧負荷により心内膜は圧迫され右冠動脈の血流は低下するので酸素の供給は低下、肺動脈圧上昇(後負荷増大)に伴って心収縮に必要な酸素の需要は増加します。このようにして酸素の需給バランスが崩れるので右室の虚血が生じるとされています。虚血による再分極異常を反映してIII誘導でT波が陰性に変化します。
