間欠性左脚ブロック(intermittent LBBB)
間欠性左脚ブロックでは、正常なQRSと左脚ブロックパターンのQRS波が交互に出現します。この2:1の左脚ブロックパターンは、頻脈、大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患、鈍的心傷害、拡張型心筋症、感染性心内膜炎、ジゴキシン中毒、麻酔導入と主に関連していると報告されています1)。
間欠性左脚ブロックのメカニズムとして、頻拍依存性双方向性ブロックが提唱されています2)。
頻拍依存性双方向性ブロック(tachycardia-dependent bidirectional block)
頻拍依存性双方向性ブロックでは、脈拍数が増加した場合に左脚の有効不応期に洞結節からの興奮が重なることで発生します。左脚で前向性にブロックされると共に、頻拍依存性ブロックにより逆向性(中隔を介した興奮)にも脱分極しません。左脚は双方向性ブロックの間、全く脱分極されない(前向性にも逆行性にも脱分極されない)ので、次の洞結節からの興奮は不応期ではない左脚を正常に伝導します(2:1左脚ブロックパターン)。
参考文献
1)A Case of Intermittent Left Bundle Branch Block. Cureus. 2021 Jun 23;13(6):e15851.←異常所見のない82歳女性の間欠性左脚ブロックの症例
2)Intermittent left bundle branch block: what is the mechanism? J Cardiovasc Electrophysiol. 2003 Sep;14(9):1010-2.←頻拍依存性双方向性ブロックとsupernormal conductionによる説を提唱