J波(J wave)
J波は報告者にちなんでオズボーン波(Osborn wave)とも呼ばれています。J波はQRS波の末端部であるJ点でのノッチまたはスラーを特徴とする陽性波であり、通常は前胸部の誘導で最も顕著です。
J波の原因
低体温(典型的には体温<30℃)で特徴的と思われていますが、J波は他の病態でも見られることがあります。
・正常亜型
・高カルシウム血症
・薬剤
・頭蓋内高血圧症、重度の頭部外傷、くも膜下出血などの神経障害
・高カルシウム血症
・薬剤
・頭蓋内高血圧症、重度の頭部外傷、くも膜下出血などの神経障害
J波の歴史
1922年 – Krausが高カルシウム血症でのJ点を記述した。
1938年 – トマシュースキーが低体温患者で記述した。
1950年 – Bigelowが低体温の犬の心電図の変化で記述した。
1953年 – Osbornは犬の呼吸機能と心機能に対する低体温の影響を研究。実験的に低体温を誘発すると、心電図のJ点に明瞭な偏向が生じ、心室細動が生じた。
1953年 – Osborn氏が実験的に低体温によるJ波を示し、彼の業績をたたえ、オズボーン波ともいわれるようになった。
参考文献
1)J-wave change during rewarming therapy for accidental hypothermia. Acute Med Surg. 2021 Jan 19;8(1):e628.←深部体温の程度がJ波の振幅の高さに関係する
2)Osborn JJ. Am J Physiol. 1953 Dec;175(3):389-98←オズボーンによる低体温によるJ波の報告