J波(J wave)

J波はQRS波の末端部であるJ点でのノッチまたはスラーを特徴とする陽性波であり2)、報告者にちなんでオズボーン波(Osborn wave)とも呼ばれています3)。camel-hump sign、late delta wave、J-point waveと呼ばれることもあります4)。

J波の原因
J波は低体温症だけではなく他の病態(早期再分極症候群、心筋虚血、高カルシウム血症、薬剤、頭蓋内疾患)でも見られることがあります。J波の一番最初の報告は1922年にKrausによって報告された高カルシウム血症患者でした5)。一般的には低体温症の時にオズボーン波と呼び、その他の場合はJ波と呼ばれます。

変動
J波は通常は前胸部の誘導で最も顕著ですが、日内および日差変動があることが知られています6)。J波の振幅は交感神経が優位になる朝から夜にかけて減高し、副交感神経が優位になる夜から朝にかけて増高します。また、心拍数とも相関関係があり、心拍数が多いとJ波は減高し、心拍数が少ないとJ波は増高します。

参考文献
1)J-wave change during rewarming therapy for accidental hypothermia. Acute Med Surg. 2021 Jan 19;8(1):e628.←深部体温の程度がJ波の振幅の高さに関係する
2)Cellular basis for the electrocardiographic J wave. Circulation. 1996 Jan 15;93(2):372-9.
3)Osborn JJ. Am J Physiol. 1953 Dec;175(3):389-98←オズボーンによる低体温によるJ波の報告
5)Ueber die Wirkung des Kalziums auf den Kreislauf. Dtsch Med Wochensch 1920; 46: 201-3.
書籍
わかる!読める!心電図ガイド症例解説Q&A P106-113
今さら聞けない心電図 P60-61
心電図免許皆伝 P101-105