左脚とは?

左脚 (Left Bundle Branch)

心臓の左脚(前肢・後肢)
文献1より 左脚(前肢・後肢)

His束は、房室結節と脚束枝をつなぐ円柱状の束です2)。これらの線維の大部分は左脚(left bundle branch)となり、残りは右脚(right bundle branch)へと続きます3)

文献1より 左脚ブロック時のヒス束と右脚・左脚

左脚は、膜状中隔(membranous septum)の下縁から発生し、その後最初に後枝(posterior fascicles)に分岐し、続いて前枝(anterior fascicles)および右脚に分岐します。前枝と後枝はそれぞれ左心室の前外側乳頭筋および後内側乳頭筋に向かって進みます3)

前枝および後枝は遠位で分岐し、心室の心内膜下に沿って広がり、心室組織への興奮を伝導するプルキンエネットワークを形成します。

文献4より 左心室内刺激伝導系から固有心筋への興奮伝搬過程。
左脚前枝:AFLBB、左脚後枝:PFLBB、前外側乳頭筋:ALPM、後内側乳頭筋:PMPM

左脚前枝および左脚後枝を下行してきた興奮は乳頭筋の基部でbreakthroughすることで乳頭筋を収縮させます。これにより腱索が緊張して僧帽弁弁尖を引っ張ることで僧帽弁をしっかり閉じることができ、逆流を防ぎます。その後、興奮は乳頭筋以外の固有心筋を興奮・収縮させます。

参考文献

1)Left Bundle Branch Block: Current and Future Perspectives. Circ Arrhythm Electrophysiol. 2020 Apr;13(4):e008239. 

2)Fine structure of the His bundle.Circulation. 1971; 44:9–28.

3)The normal variants in the left bundle branch system.J Electrocardiol. 2017; 50:389–399.

4)心電図. 2023; 43:206-216.←心室内刺激伝導系でコントロールされる興奮・収縮連関を用いた房室弁逆流防止システムを提唱

解剖
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