後壁心筋梗塞(posterior myocardial infarction)
心臓の後壁を灌流する血管が虚血となり、後壁に心筋梗塞が生じた場合を後壁心筋梗塞と言います。
後壁とは左室の背面を指しており、上図のように左室を立方体で表すと赤色の部分にあたります。
心臓を輪切りにした図では後壁は上図のようになります。
心電図変化
ST変化
後壁の近くである背部誘導(V7、V8、V9誘導)でST上昇し、ミラーイメージとして前胸部誘導(V1-4)でST低下を認めます。
R波増高
背部誘導の異常Q波のミラーイメージとして胸部誘導の特にV1誘導のR波が増高します。「R波の高さ>S波の深さ」となります。また、異常Q波を反映しているのでR波の幅は40msec(1mm)以上になります。
反時計方向回転でもV1誘導のR波増高が見られるため鑑別が難しいことがあります。
T波増高
心筋梗塞に伴う心電図変化で背部誘導に陰性T波が現れると、ミラーイメージとして前胸部誘導のT波は増高します。
左回旋枝
参考文献
1)Posterior-Wall Myocardial Infarction. N Engl J Med. 2019 Oct 24;381(17):e32.
書籍
読み方だけは確実に身につく心電図 P236
心電図免許皆伝 P57-62
レジデントのためのこれだけ心電図 P128-131
心電図のみかた、考え方 応用編 P111-119