多源性心房頻拍(multifocal atrial tachycardia:MAT)
多源性心房頻拍は心房内の洞結節以外の複数の場所で興奮が発生し、頻拍となっている状態です。
心房からの興奮が心室に伝わるためQRSはnarrowであり、興奮の起源が複数あるためリズムはバラバラであり不整(irregularly irregular)となります。
診断基準
多源性心房頻拍の診断基準は以下の通りです1,2)。
・1分間に100回以上の心房拍数
・同一リードに3つ以上のP波の形態(洞房結節から発生するものは含まない)
・同一リードに3つ以上のP波の形態(洞房結節から発生するものは含まない)
さらに、PP間隔が不規則で、P波間のベースラインが等電位であることが含まれることもあります。これは心房細動や心房粗動と区別するためです。
一般的に見られますが診断基準に含まれない所見として、不規則なPR間隔とRR間隔があります。
PR間隔は先行するRP間隔の長さに応じて変化するため、PR間隔の変動は診断基準に含まれていません。
参考文献
1)Multifocal atrial tachycardia. Chest. 1998 Jan;113(1):203-9. ←洞性P波を含めて3種類以上のP波とする意見もある
2)Multifocal Atrial Tachycardia. 2021 Jul 22. In: StatPearls [Internet].