心室内変行伝導(aberrant intraventricular conduction)
心室内変行伝導は機能的脚ブロックとも呼ばれ、病的な伝導障害でなく、興奮刺激が脚の不応期と重なったために起こる現象です。
心室内変行伝導とは、「刺激伝導系の生理的不応期に上室性の興奮が伝達されることによって引き起こされる一過性の脚ブロック」と定義されます2)。
心室内刺激伝導系の中では右脚の不応期が最も長いです。そのため、左脚が不応期から回復した後に右脚が不応期から回復します。
右脚のみが不応期のタイミングで上室期外収縮などの興奮が生じると、興奮が左脚を伝導した後に右脚方向へ伝導していくことになります。これは右脚ブロックの時と同様の興奮伝導パターンです。
心電図上では、心室内変行伝導はQRS幅の拡大をもたらし、一般的には右脚ブロックパターンを形成します。
右脚ブロックの場合とは異なり、変行伝導の症例のほとんどがベースラインのQRS幅は正常であり、刺激伝導系の異常はありません3)。
参考文献
2)Multifaceted Left Bundle Branch Block: What Are the Mechanisms? JACC Case Rep. 2022 Mar 2;4(5):306-309.←心室変行伝導の4種類のメカニズムに関して。
3)Aberrant Ventricular Conduction: Revisiting an Old Concept. Heart Lung Circ. 2023 May;32(5):555-566.