洞結節(sinus node)
洞結節の形状・位置
洞結節は三日月型で、通常は右心房頂点のすぐ下にある末端溝(sulcus terminalis)内にあります。
右心耳の頂部付近の上大静脈と右心房との接合部を中心に存在しています2)。
組織学的に、洞結節を3次元的に再構成すると、頭、胴、尾からなるオタマジャクシのような形状になり、洞結節の頭から尾までの長さは平均13.5mmと報告されています。
洞結節の動脈支配
洞結節は洞房結節動脈(sinus node artery)による支配を受けており、この動脈が洞結節に入るときの経路にはバリエーションがあります。
洞結節に近づくと分岐して、洞結節を貫通するものもあれば、洞結節の周囲を迂回するものもあります。
この洞房結節動脈(sinus node artery)は、約70%の人では右冠動脈の最初の枝が起始部であり、残りの30%では左回旋動脈を起始部としています。
右または左冠動脈の側方から起始する例(right or left lateral atrial artery)もわずかにあります。
・左冠動脈由来:約30%
心拍数とペースメーカの位置
心拍数によって洞結節内のペースメーカー活動の解剖学的起始部位は変化することが知られています4)。洞結節の上部と洞結節の下部に異なる2つのペースメーカが存在することで、ぺースメーカの移動とそれに伴うP波の形態の変化が生じます。交感神経優位で心拍数が多い場合は洞結節の上部、副交感神経優位で心拍数が低い場合は洞結節の下部がペースメーカとして働いています。
参考文献
1)Anatomy and pathology of the sinus node. J Interv Card Electrophysiol. 2016 Jun;46(1):3-8.
3)Biology of the Sinus Node and its Disease. Arrhythm Electrophysiol Rev. 2015 May;4(1):28-34.
4)Evidence of Superior and Inferior Sinoatrial Nodes in the Mammalian Heart. JACC Clin Electrophysiol. 2020 Dec;6(14):1827-1840.←洞結節内の2つのペースメーカは安定した生理的心拍を維持するためにその優位性を突然切り替える