P波(16問)
問題1
P波は心房の興奮を反映している。
...
答え:◯
P波は心房の興奮を反映しており、一番最初の波形になります。
問題2
12誘導心電図ではP波の前には洞結節の興奮が見られる。
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答え:×
洞結節の興奮は微弱な電位であり12誘導心電図では確認することができません。
問題3
右房の興奮波と左房の興奮波を合わせてできた波形である。
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答え:◯
P波は前半2/3が右房の興奮、後半2/3が左房の興奮になります。
問題4
通常はV1誘導で二相性のP波が見られる。
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答え:◯
P波の前半はV1誘導に向かってくる右房の興奮を反映し、P波の後半はV1誘導から離れる左房に向かう興奮を反映しています。
問題5
正常なP波の幅は0.10秒未満(<100ms)である。
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答え:×
正常なP波の幅は0.12秒未満(<120ms)とされています。基本的には小さな1マスが0.04秒なのでP波の幅が3マス未満であれば正常範囲内です。
問題6
P波の振幅(高さ)は肢誘導では0.2mV未満が正常範囲である。
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答え:×
P波の振幅(高さ)は四肢誘導と胸部誘導で正常範囲が異なります。肢誘導では0.25mV未満が正常範囲です。
問題7
洞調律においてP波はⅠ誘導、Ⅱ誘導、aVF誘導で陽性、aVR誘導で陰性になる。
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答え:◯
洞調律では心房の興奮が右上から左下に向かうのでP波のベクトル(電気軸)は0°~+75°の間にあり、Ⅰ誘導、Ⅱ誘導、aVF誘導で陽性、aVR誘導で陰性になります。
問題8
洞調律においてaVL誘導とⅢ誘導のP波は必ず陽性になる。
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答え:×
aVL誘導とⅢ誘導は洞調律であっても興奮ベクトルの向きによってP波は陽性波にも陰性波にもなりえます。
問題9
肺性P波は下壁誘導(II、III、aVF)において0.25mV以上の陽性P波である。
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答え:◯
肺性P波は高くて尖鋭したピークを持ち、肺疾患でよく見られることから肺性と名付けられています。
問題10
右心性P波はV1誘導において0.2mV以上の陽性P波である。
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答え:◯
右心性P波は右心(右房)負荷をきたす疾患をもつ患者でよく見られる波形です。
問題11
Himalayan P wavesは高さが0.3mVを超える幅広いP波である。
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問題12
僧帽性P波はⅠ、Ⅱ誘導でP波持続時間が120msec以上、二峰性P波の峰の間隔が40msec以上である。
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答え:◯
左房負荷によって左房が拡大すると、左房の興奮が遅れるためP波の持続時間が延長し、僧帽性P波と呼ばれます。
問題13
左心性P波はV1誘導におけるP波陰性部分の幅(sec)×深さ(mm)が0.04sec・mm以上である。
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答え:◯
胸部誘導のP波陰性部分の、幅(秒)×深さ(mm)をP terminal force(またはMorris指数)と呼びます。あくまでも幅×深さであり陰性部分のみの面積ではないことに注意が必要です。
問題14
洞室伝導ではP波が見られない。
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答え:◯
洞室伝導では洞房結節から房室結節へと特殊な経路を通って興奮が伝導するので心房筋は興奮(脱分極)しないとされています。
問題15
心房間ブロックは下壁誘導でP波≧120msecである。
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答え:◯
心房間ブロックはバッハマン束の異常に起因する心房興奮の遅延です。
問題16
Bayés症候群では下壁誘導において2相性P波(陰性→陽性)が見られる。
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答え:×
陰性→陽性ではなく陽性→陰性となります。Bayés症候群では高度心房間ブロックが見られます。左房の興奮は冠状静脈洞の付近から逆行性に生じるので、下壁誘導においてP波の終末が陰性となり、ニ相性P波(陽性→陰性)になります。
Q波(3問)
問題1
Q波はR波に先行する最初の陰性波である。
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答え:◯
R波がない場合はR波に対する前後が判断できないためQS波と呼ばれます。
問題2
正常洞調律ではV1、V2誘導でQ波が見られる。
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答え:×
Q波は心室中隔の正常な左から右への脱分極を表します。側壁誘導(I、aVL、V5、V6)では小さな「中隔」Q波(septal q eave)が典型的に見られます。
問題3
幅が0.04秒以上、深さがR波の1/4以上のQ波を異常Q波と呼ぶ。
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答え:◯
Ⅲ誘導のみあるいはaVL誘導のみに見られる異常Q波は病的意義はないとされています。
R波(3問)
問題1
R波はP波の後に来る最初の陽性波である。
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問題2
poor R wave progressionではR波の高さがV1からV3まで同程度であり、V3誘導のR波振幅は0.3mV以下である。
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問題3
reversed R wave progressionではV4からV6にかけてR波が小さくなっていく。
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S波(3問)
問題1
R波の後に来る陰性の波をS波と呼ぶ。
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答え:◯
R波がない場合はR波に対する前後が判断できないためQS波と呼ばれます。
問題2
S1Q3T3 patternではV1誘導に大きなS波を認める。
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問題3
S1S2S3パターンはI誘導、Ⅱ誘導、Ⅲ誘導にS波が存在している。
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T波(8問)
問題1
T波はQRS波の後に見られる波であり、心室再分極を表します。
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答え:◯
正常のT波は緩やかに上昇し、急峻に低下、ピークは後半に見られます。
問題2
冠性T波は心筋虚血などで認められる左右非対称の陰性T波のことである。
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答え:×
冠性T波とは、心筋虚血などで認められる左右対称の陰性T波のことです。冠動脈疾患でよく見られることから冠性と名付けられています。
問題3
深さが1.0mV以上の左右対称の陰性T波を巨大陰性T波と呼ぶ。
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答え:◯
巨大陰性T波は心尖部肥大型心筋症、たこつぼ症候群、くも膜下出血などで生じます。
問題4
左室肥大ではストレインT波と呼ばれる左右対称の陰性T波が見られる。
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答え:×
ストレインT波は非対称性の陰性T波です。
問題5
平低T波とは波高がR波の10分の1未満のT波のことである。
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答え:◯
平坦T波とも呼ばれます。R波の高さがある程度以上でなければ評価できないためR波が10mm以上の誘導で判断します。
問題6
Ta波は心房筋の再分極を表している。
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答え:◯
Ta波の極性はP波と逆であり、QRS波とT波の場合とは対照的です。Ta波は振幅が小さいため、しばしばQRS波の中に隠れてしまいます4)。
問題7
正常な小児の心電図では右側胸部誘導のT波は陰性でありJuvenile T waveと呼ぶ。
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答え:◯
Juvenile T waveは一般的にはV1-3に限局した浅くて非対称の陰性T波になります。年齢を重ねるにつれてV3→V2→V1誘導の順番で陰性T波が陽性化していきます。
問題8
心筋虚血の急性期にhyper acute T waveが見られることがある。
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U波(3問)
問題1
U波はT波に続く小さな陽性波である。
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答え:◯
U波はV2、V3誘導で最もよく見られます。
問題2
正常でもT波より大きいU波が認められる。
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答え:×
U波の波高は通常T波の25%未満であり、T波より大きいU波は異常です。
問題3
正常でも陰性U波が認められる。
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答え:×
陰性U波は主に心臓に起因する病的徴候であると考えられ、例外なく異常所見です。
J波(3問)
問題1
J波はQRS波の末端部であるJ点でのノッチまたはスラーを特徴とする陽性波である。
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答え:◯
J波はcamel-hump sign、late delta wave、J-point waveと呼ばれることもあります。
問題2
低体温症ではオズボーン波が見られる。
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答え:◯
低体温症におけるJ波のことであり、報告者にちなんでオズボーン波(Osborn wave)とも呼ばれています
問題3
早期再分極症候群ではJ波が見られる。
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Δ波(4問)
問題1
WPW症候群に特徴的なP波の直後から始まる緩徐なQRS波の傾斜のことをΔ波と呼ぶ。
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答え:◯
Δ波のデルタはギリシャ語で三角形を意味しており、QRS波の最初の部分が三角形に見えることからこのように呼ばれています。
問題2
WPW症候群A型は副伝導路が右室側に存在する。
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問題3
WPW症候群B型は副伝導路が中隔に存在する。
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問題4
WPW症候群C型は副伝導路が左室側に存在する。
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ε波(2問)
問題1
ε(イプシロン)波は主にV1~V3誘導においてQRS波の終了直後に出現するnotchである。
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答え:◯
ε(イプシロン)波はJ波に似ていますが,J波に比べてより高周波(細かいギザギザ)で低電位とされています。
問題2
ε波は不整脈原性右室心筋症で見られることがある。
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答え:◯
ε波は不整脈原性右室心筋症の特異度は高いですが感度は低いです。そのため、ε波があれば不整脈原性右室心筋症の可能性は高いですが、ε波がない場合でも不整脈原性右室心筋症の可能性は否定できません。